か ん た ん

精進料理6

ウドのあく抜きと下ごしらえ

一般的にウドのあく抜きには次の方法があります。
1)酢水にさらす
2)油で揚げる
3)酢水で茹でて水にさらす
化学的な事は分かりませんが、アクには水や熱湯に溶け出す成分、油に溶け出す成分、酢(酸)にとけ出す成分が混然となっているのではないかと思われます。ウドの部分や調理方法に適したあく抜きの方法を使いまたは併用し、アクをコントロールして美味しくしかも山菜らしい野趣を味わいたいものです。

●ウドのあく抜きのポイントは〜片栗粉〜
私が永平寺東京別院に安居(あんご=修行)しているときに先輩から教えられた事です。片栗粉が魔法の粉に思えました。

●あく抜きと下ごしらえ
 まず山ウドの幹の部分の綿毛と汚れを取ります。流水のもとタワシでこすり取ります。先端の芽の部分を切り取り、幹からのびている葉は下方向にむしり取ります。
 幹を4〜5センチに筒切りし、桂むきの要領で皮を厚めにむきます。蕊に目立つ筋が残らないようにむきましょう。皮も使うので厚くむいても無駄になりません。
 次の方法で部分別にあく抜きしましょう。
1)皮を取り去った蕊の部分
生食用(酢の物類やサラダ):短冊切りにして片栗粉を入れた酢水にさらす。不思議なくらい真っ白になる。
煮物用:酢を少量加えた湯で茹で上げ水に取る。
2)ウドの皮の部分
皮や芽、葉の部分は切り口からべとつくヤニのような物が出る事があるのでしっかりアク抜きしましょう。
皮は繊維に沿って細切りにして片栗粉を入れた酢水にさらす。葉や芽の部分も一緒にしておく。
3)芽の部分
おひたし、和え物用には酢を少量加えた湯で茹であげ水に取る。茹でるときは片栗粉は使いません。

山ウド

 新春を迎えスーパーの野菜売り場にも春の野菜や山菜が並び始めました。その中で今回は山ウドを取り上げたいと思います。天然のウドはもう少し暖かくなってからですが、店頭にはおそらく並ばないでしょう。「山ウド」といいますが天然ものではなく栽培されたものです。暗所で栽培したものが白いウド、陽の光のもと栽培したものが「山ウド」です。
 春の息吹を感じさせる香り、しゃきっとした歯触りが持ち味のウド、特に山ウドは野性味のある食材で、フキノトウと並ぶ早春の山菜の代表格でしょう。
 山ウドは捨てる所がほとんどありません。蕊の白いところだけ食べれると思っている人が多いのですが、皮や葉も食べる事ができます。むしろ山ウドの皮や葉のほうが野性味豊富な山菜と思えるくらいです。ウドの蕊は酢の物類やサラダ、または炊き合わせ(煮物)に、皮は天ぷらや金平に、芽の部分や葉はてんぷら、または茹でておひたしやマヨネーズ和えにして美味しく頂きましょう。
 ただ山菜の野性味にはアクがつきものです。香りもアクの内かもしれませんが強いアクは害があると思います。調理方法によっては充分アクを抜く必要があります。(H18.1.22)

香り高く淡白な味わいなので、いろいろな調味が楽しめます。
酢味噌和え、ゴマ酢和え、サラダなど。
生食ではありませんが、野菜炒めの具や油を使わない金平。

皮をかき揚げにすると、何の素材かほとんどの人が分からないのでびっくりさせる事ができます。しかも牛蒡のかき揚げより美味しいのです。葉や芽の天ぷらも香りがあり美味です。
揚げごろもは、水に溶き卵を入れ、片栗粉を加えて溶かし次に小麦粉(薄力粉)を入れ、箸でかき混ぜる。このとき粉玉が残るほうが揚げ具合が良いので混ぜすぎずネットリさせないこと。氷で冷やす必要はありません。
揚げ方は、中温の天ぷら油にゆっくりと泳がせ、上げ際に少し高めの温度にするとカリッと揚がるでしょう。焦げないように気をつけて。
天つゆは、出汁を効かせ砂糖を使わず薄味のものが合います。

茹で上げアク抜き下ごしらえしたウドを半割または斜め切り半分割して、調味した煮汁で煮ます。
煮汁は、出汁に酒、砂糖、塩で調味します。素材が白いので醤油は使わないほうが良いでしょう。仕上げにみりん少々。
ほかの具と合わせる場合は、一緒に煮ないでウドの煮汁を使いまわして別々に煮ると良いでしょう。

ウドの皮の固い繊維は油を使い加熱する事によって柔らかくなります。味付けの基本は酒と醤油です。砂糖は好みであれば使いましょう。仕上げに七味や山椒をどうぞ。

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